10月末からフランスは冬時間、日本との時差は8時間になりました。朝晩はかなり冷え込みます。何種もあるアートフェア(FIAC現代美術国際フェア、Young International Art Fair, Asia Now, Outsider Art Fair)やアートイヴェントにつづき、11月は写真関係の催し(Paris Photo, Fotofever)の月です。でも2年ごとに行われていた「写真月間」は、来年2017年4月、パリの郊外を含む「グラン・パリ」全域で大々的に催されることになりました。
・ケ・ブランリ美術館では来年1月17日までThe Color Lineというアメリカの黒人アーティストと人種差別についての展覧会が催されています。1865年(奴隷制廃止)から今日にいたる黒人アーティストの作品と史料(写真、映画、音楽、新聞・雑誌・書籍)600点をとおして、黒人差別とはいかに根が深いものなのか、同じ人間として生きるためにどれほど苦難と闘いがあったかが示されています・・・という紹介記事をメールマガジンRoadsiders' Weeklyのために書き終わる前に、アメリカの大統領選があり、キャンペーン中に差別発言が問題になったトランプが選出されました。フランスでの衝撃も大きいですが、現代アメリカ社会について理解を深めるためにも、ぜひ多くの人に見てもらいたい展覧会です。
http://www.quaibranly.fr/fr/expositions-evenements/au-musee/expositions/details-de-levenement/e/the-color-line-36687/
英語http://www.quaibranly.fr/en/exhibitions-and-events/at-the-museum/exhibitions/event-details/e/the-color-line-36687/
・11月13日は、バタクラン劇場やカフェテラスなど同時テロ事件の1周年。バタクラン劇場は12日(土)の夜、スティングのコンサートで再オープンしました。テロ直後に制定された「緊急事態」はその後延長され、7月に起きたニースの大量殺戮事件などのせいで再延長、今もつづいています(来年1月26日までの予定)。もっとも、その体制下でも3月〜6月は労働法(エル・コムリ法)に反対する大規模なデモやストが繰り広げられ、パリのレピュブリック広場などで「Nuit Debout夜、立ち上がれ」という市民の集会がつづきました。最近ではなんと、警察官のデモ(フランスには警察官の組合もあるが、組合が組織したデモではない)もありました。
・10月1日〜2日の週末、フランス北西端のコタンタン半島(ノルマンディー地方)、新型原発EPRを建設中のフラマンヴィルで大規模な反対行動が催されました。そのときの取材とEPRにつて、短い記事がしんぶん「赤旗」に(10月10日(月))、長いテキストはコラム「パリの窓から」に掲載されました。(ブログにも掲載)
http://www.labornetjp.org/news/2016/1024pari
http://www.takahatayuki.com/blog3
このEPRの部品の欠陥が発覚したことから、稼働中のフランスの原発18基に欠陥部品が使われ、大規模な不正が行われていたことがさらに発見されました。その結果、フランスの原子力安全局ASNの要請で20以上の原子炉が検査のためすでに止められたか、来年1月までに止まる予定で、11月初め現在、全体の3分の1が止まっています(ちなみに、この調査で日本の原発にも欠陥部品が使われたことがわかった)。電力の75%も原発にたよっているフランスでは、厳寒になれば電力不足になる可能性もあります。