*国民議会でサッカー・ユニフォーム姿になったフランソワ・リュファン
プロ・サッカー人気選手のクラブ移籍に払われる巨額の費用に5%課税して、それをアマチュア・スポーツクラブへの援助金にあてようという法案が、35人の議員(中道・FIなど超党)によって提出された。12月7日、FIのフランソワ・リュファンはこの法案を支持するスピーチの途中でセーターを脱ぎ、地元のサッカークラブのユニフォーム姿になった。彼は、地元アミアン近郊のアマチュアクラブを世話する人々がボランティアで、子どもたちのために心をこめてユニフォームを洗濯し、アイロンをかけてたたんでいる現実を語った。それら無数の無名の人々の無償で献身的な行為こそが、スポーツを支えて子どもたちの成長を助けているのに、スポーツ大臣や「共和国前進」議員の口からは「(商業的)吸引力、市場、投資家、競争」などの言葉ばかりが繰り返され、「ボランティア、歓び、願望」といった概念は欠如しているーースポーツをビジネスとしか考えていないのだ、とリュファンは指摘した。
去る8月、ブラジルの人気選手ネイマールがFCバルセロナからパリ・サンジェルマンFCに移籍された際、史上最高の2億2200万ユーロ(約300億円)が払われたことについて、この天文学的数字の価格は一般の人々の生活からあまりにかけ離れていておかしい、とFIの議員たちはコメントした(362世紀分の最低賃金にあたるそうだ)。一方、各地の弱小アマチュア・スポーツクラブは、自治体の援助金を含めても僅かな予算でやりくりをしている。スポーツを支えるアマチュア・クラブに国は富を分配すべきだ、という主張である。
さて、国会での服装については、「きちんとした」という形容詞のほか細かい規定はない。FIの議員たちは新議会が発足した日から、服装規定はナンセンスだからネクタイなしでもかまわないと宣言して、背広・ネクタイの慣習を葬った(女性のパンツやカジュアルな服装については、40年以上前からいくつかエピソードがある)。ところが、議長はリュファンのサッカー・ユニフォーム姿について、スピーチ後に「品位に欠ける」と咎めた。リュファンは午後の議会に再びユニフォーム姿で赴き、その服装が品位に欠けるものではないと反駁したが、保守議員からはヤジがとび、国民議会議長フランソワ・ド・リュジはリュファンに対する「罰」として、1378ユーロ(約18万6000円、議員の報酬の4分の1)の減給を要求した。